桃源郷
2006年 03月 16日
「典子、カゴ持っていってトマトとお葱を取ってきなさい。」。祖母が野菜を作っていた。食事の前に必要な分だけ門にヒョコヒョコと出ていって採ってくるのは私の仕事。幼稚園や学校が休みになると出かけていた。夏休みだと1ヶ月ほとんど・・春休みは1週間ぐらいで短いから心を残しながら両親の元へ帰った。藁葺き屋根の田舎家の冬は寒い!でも、火鉢の灰の中や焚き火の中でさつま芋を焼いてもらった。フゥフゥ~しながら食べた、美味しかったナァ。花が咲き乱れる春休みがとくに楽しみだった。菜の花畑にれんげ草のピンクの絨毯。神戸の街に住んでいるというだけで村の人は小さな私をお嬢さん扱いしてくれた。どこでいつ何をしているのか・・皆が知っていた。だから、村中どこへ出かけても怖いことなどなかった。小川にメダカが泳ぎ、家に洗濯機があっても湧き水の出る村の洗濯場へ女は集まる。夕方には空は赤く染まりカラスがカァカァ~って鳴く。縁側から大声を出したり手を叩くと正面の小さな山にこだまし返ってくる。私の思い出の中のそこはまるで”桃源郷”だワ。絵手紙で野菜や自然の景色を追いかけてしまうのは、その頃の生活があるから。こうしてBlogをし絵手紙に吐き出していると自分の内なるものが掘り返され見えてくる。自分を見つめ直す切り口となる。
by edayori
| 2006-03-16 10:57